英語とことわざ

私にとって英語というのは便利なも のである。私はイギリス人なので、母 国でのコミュニケーションはもちろん 英語でしている。しかし、このご時世、 英語が話されているのはイギリスだけ ではない。英語圏であるアメリカやオー ストラリアなどの国々に加え、それ以 外の多くの国々の人々もグローバル言 語としての英語を勉強し、話してくれ る。つまり、私は外国語を勉強しなく ても、かなり多くの外国人と意思の疎 通が取れてしまうのだ。これを英語で は、"Kill two birds with one stone."と 言う。日本語で言う「一石二鳥」とい うやつだ。(実際には「一石二鳥」以上 だが......)

逆に私が日本のことわざでおもしろ いと思ったのは、「猿も木から落ちる」。 英語で、このことわざに相当するのは、 たぶん"Nobody is perfect."。「誰しも 完璧ではない」という意味だが、これ はことわざと言うよりはただのフレー ズか? 日本語の表現の方がずっと分 かりやすいし、おもしろいと思った。

それから印象的だったのは「灯台下 暗し」。これは、英語だと"Can't see the forest for the trees."が近いと思う。 意味としては「木で森が見えない」あ るいは「木は見えるが、森は見えない」 といった感じだ。ニュアンスは違うか もしれないが、近すぎると物事を見落 としたり、認識しにくいことがあると いう意味では共通していると思う。

英語と日本語それぞれのことわざを 比較するだけでも、お互い「目から鱗 が落ちる("The scales fall from one's eye.")」表現があって実におもしろい。 ちなみにこれは聖書のなかにある言葉 だが、英語では日本で使われるほど一 般的ではないことを付け加えておく。

(May 2012)

デービスさんのPROFILE

Marc Davies(マーク・デービス)
『週刊ST』コントリビューター

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