「ハクション」、「ガブレッシュ」?

  昔、筆者の勤務校のLL教室に勤めていた女性がアメリカ人と結婚して渡米し、時折手紙をくれていました。あるとき、風邪をひいてしまってくしゃみをすると母親が「ガブレッシュ」と声を掛けるのですが、これって何ですかという質問を書いてきました。

これは、“God bless you!” と言っているのであって、単に “Bless you!” と言うこともありますが、意味は、「神の祝福がありますように」といったようなところです。昔の人は、人間の魂は空気や息の形で頭に宿っていると考えていて、くしゃみをするとその魂が体から抜け出てしまうと考えたようです。そのため、そうならないように神様にお祈りをしたというわけで、一種のおまじないです。なお、こう言ってもらったときはふつう “Thank you.” と返します。

 

  また、英語では何曜日にくしゃみをしたかによって次のような言い方をします。

Sneeze on Monday, sneeze for danger;

Sneeze on Tuesday, kiss a stranger;

Sneeze on Wednesday, receive a letter;

Sneeze on Thursday, something better;

Sneeze on Friday, sneeze for sorrow;

Sneeze on Saturday, see your lover tomorrow;

Sneeze on Sunday, your safety seek

Or the Devil will have you for the rest of the week.

 

  土曜日にくしゃみをすると翌日曜日に恋人に会えますが、日曜日のくしゃみは安全策をとらないとその1週間、悪魔に乗っ取られるのですから、要注意です。

ちなみに、英語でくしゃみの音はahchoo, atchoo, atishoo、あるいはkerchooと表します。

(November 2014)

竹中先生のPROFILE

竹中龍範
香川大学教育学部教授

専門は、英語教育学。特に英語教育史、英学史、英語辞書史、並びに言語文化論を研究。日本英語教育史学会会長、日本英学史学会中国・四国支部長や、文部科学省の教育研究開発企画評価会議協力者などを務める。小学校英語教育についても、研究開発学校指定校直島小学校の運営指導委員などを務める。著書・論文多数。

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