竹中龍範
香川大学教育学部教授
専門は、英語教育学。特に英語教育史、英学史、英語辞書史、並びに言語文化論を研究。日本英語教育史学会会長、日本英学史学会中国・四国支部長や、文部科学省の教育研究開発企画評価会議協力者などを務める。小学校英語教育についても、研究開発学校指定校直島小学校の運営指導委員などを務める。著書・論文多数。
昔テレビで放映されていたアメリカの漫画に猫と鼠が主人公の『トムとジェリー』という題名のものがありました。それぞれの名前トムとジェリーはごく一般的なfirst nameですが、この英語の名前については大学生でも十分に理解ができていないようです。
英語では姓名の名に当たる方を先に置き、姓の方を後に置くということはよく知られています。英語では名の方はfirst name、またはgiven name, Christian nameと言い、姓はfamily name, last name, surnameと、いくつかの言い方があります。このうち、Christian nameについては、E. Weeklyという英語学者が、この言い方は英語独特のもので、他の言語では「洗礼名」という言い方をするので、Christian nameは今は使われなくなったChristened nameの崩れた言い方であろうと言っています。
英語ではこのfirst nameの付け方には一定の範囲があり、日本人の名前のように自由気ままに付けることはありません。聖書の人物や聖人の名にちなんだり、ギリシア・ローマ神話にちなんだりという場合が多いようです。また、このfirst nameを縮めたpet nameを親しい間柄で使いますが、これにも範囲があって、例えば男性名のRichardはDick, Rich, Rick、女性名のElizabethはBess, Bessie, Bessy, Beth, Betsy, Betty, Eliza, Elsie, Lisa, Liz, Lizzie, Lizzyというように限られています。
ところで、日本語で代表格の男性名、女性名は「太郎」「花子」ですが、英語ではこれを何と言うのでしょうか。上に挙げたWeeklyの研究書の題名にもなっていますが、Jack and Jillがこれに当たります。
ちなみに、これまで筆者の下に学んだ留学生のうち、カンボジアとインドネシアの人はともに姓に当たるものはなく、必要な場合はお父さんの、あるいはお爺さんの名を自分の姓として使うのだと言っていました。
(February 2015)
専門は、英語教育学。特に英語教育史、英学史、英語辞書史、並びに言語文化論を研究。日本英語教育史学会会長、日本英学史学会中国・四国支部長や、文部科学省の教育研究開発企画評価会議協力者などを務める。小学校英語教育についても、研究開発学校指定校直島小学校の運営指導委員などを務める。著書・論文多数。