埼玉大学
学生の英語力測定に効果を発揮。
さらに学内特別会場IELTS実施で留学希望者が増加。
埼玉大学
英語教育開発センター
ステイシー・ヴァイ 助教
ERCを設置し、国際的な環境の中で活躍できる人材の育成を
国際的な環境で活躍できる人材の育成を目的として、埼玉大学の英語教育開発センターが創設されました。コーディネーターの一人として私がかかわる ERC(English Resource Center)は、英語教育開発センターの活動の柱の一つであり、常駐する英語教員が英語についてのさまざまな質問を受けつけています。ERCの大きな役 割の1つに、「留学前」の学生と「留学後」の学生の“架け橋”になるという事があります。現在、ERCにはたくさんの学生が通っており、私のゼミに通って いる学生は26人です。
そのうち、留学が決まっている学生は11人、留学帰りの学生が4人います。ERCでは、留学するか迷っている学生、不安を感じている学生に対し、教員がア ドバイスするのはもちろん、実際に留学から帰ってきた学生が自分の生の経験談を話し、留学の後押しをするという光景も日常的に見られます。私は「ERCに はそんな役割をぜひ果たして欲しい」とずっと考えていましたので、実際に「ERCに通って色んなアドバイスをもらい、留学の決心がついた」という声を聴く と非常に嬉しく思います。もちろん留学帰りの学生が身に付けた英語力をキープアップする場としても大きな役割を果たしていると自負しています。
英語力の測定方法として、ERCにIELTSを導入
私は日本学術振興会から科研費を受け、「学生たちが一定期間の自律的学習を行った結果、どのくらい習熟度が伸びるか?」というテーマで研究を行っていま す。その効果測定として昨年初めてIELTSを導入しました。TOEFL、TOEICといった他の英語の試験もあるのですが、私が以前に勤めていた大学の 同僚が2人、IELTSのスピーキングの面接官をしていて、その方たちとIELTSの話をしているうちに、「総合力を測るなら、誕生した当初からリスニン グ、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を試験科目としているIELTSが1番ではないか」と強く思うようになり、迷うことなく導入を決め ました。
特にネイティブの面接官と直接、会話形式で行うスピーキングの試験が素晴らしいと思いますね。日本にいる学生はTOEFLのように機械に向かってスピーチ する試験の方がやりやすい、という人もいるみたいですが、実際の会話は人間同士でするものですから、当然会話形式でスピーキングした方がいいと思います。 学生たちは、ERCでは実際に私を含めて、留学生などいろいろな国の人と話す機会が多いので、IELTSを受験してみると、面接というスタイルに最初は緊 張するものの、機械に向かってスピーチするよりも、人間と会話する方が、「やりやすかった」という声が大多数です。
学内特別会場IELTSを実施したことで留学希望者が増加!!
今までは埼玉県内にIELTSの受験会場が無いために、興味はあっても受けられなかった学生が多くいたと聞きました。そこで私の研究の一環として埼玉大学 で学内特別会場IELTSを実施し、学生たちに受験の機会を与えたところ、多くの学生がチャレンジするようになりました。ERCの生徒の中からも9人もの 留学希望の学生が出てきました。
「日本の学生が海外に出たがらない」と言われて久しいです。でも、学生たちの中に潜在的には留学を希望している人が多くいます。学内特別会場IELTSを 導入し、留学のチャンスをつかみやすい体制が出来たことで、学生のモチベーションも上がり、潜在的だった留学への意識が表面化したのだと思います。それだ けでも実施した意義があったと思います。
海外で学んできた経験は一生もの!
海外で学んできた経験は忘れられないものになります。そして帰国後に学生たちにはそれを忘れないための努力をしてほしいと思います。英語にしても、せっか く留学で身に付けた"使える英語”は、日常的に使わないとレベルが落ちて行きます。学生たちにはせっかく身に付けた英語力をキープアップするためにERC を利用して欲しいですし、留学から帰ってきた学生は、これから留学をする学生、留学したいけれども迷っている学生に自分の留学の経験を伝えて行って欲しい と思います。先ほども言いましたが、ERCはそういう学生たちの「架け橋」となる場所を目指しています。
プロフィール
埼玉大学
埼玉大学は旧制浦和高等学校、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校)の3校を統合し、昭和24年に新制国立大学として設立。現在では5学部(教養・教育・経 済・理・工)、4大学院研究科(文化科学・教育学・経済科学・理工学)を有する国立の総合大学である。英語教育を重視し、留学生約500人を受け入れるな ど、活発な国際交流を行っている。