立教大学

学内実施の受験者には受験料を負担。
留学への意識が高まり増えるIELTS受験者

立教大学
国際センター
佐々木ルリ子 課長

学内で加速する国際化への動き

立教大学はアメリカ聖公会の宣教師によって創立された大学であるため、世間では「英語に強い」「国際的な大学」というイメージが強いと思います。しかし、恥ずかしながらグローバル化の動きは遅れていたのが実情でした。そうしたなか、2006年度に経営学部、2008年度に異文化コミュニケーション学部が開設され、各学部ではカリキュラムに留学制度を取り入れるなどして、国際社会に通用する人材の育成に取り組んできました。そして、2010年度に吉岡知哉総長が就任すると、総長のリーダーシップのもとで国際化が加速化し始めたのです。

現在、立教大学には池袋と新座のキャンパスいずれにも国際センターがあり、留学生・研究者の受け入れや送り出しています。2013年度からはグローバル育成センターとしての役割も兼ね、海外研修の短期プログラムの充実を図ることになっています。

また、2011年には日本語教育センターが設立され、そこでは外国人留学生への日本語教育なども行っています。

海外からの留学生は現在、正規留学と交換留学を合わせて512名おります。正規留学の出身国は韓国や中国が大半を占め、交換留学はヨーロッパからの留学生が大半を占めています。また、留学生の送り出しについては、協定校である大学間との交換留学、学部間留学をはじめ、全学共通カリキュラムによる語学研修、リーダーシップフォーラム、韓国の聖公会系の大学の学生とのワークキャンプなどが用意されています。2012年度はすべてのプログラムを合わせて970名の学生が海外経験をしました。なかでも、アメリカ・ケント州立大学の留学プログラムの希望者は多く、ESLプログラムに参加する短期の夏季英語研修、ESLや正規科目履修を英語力に応じて選べる半期または1年間の留学のいずれかを選んで参加することができます。

受験料の大半を大学が負担してIELTSを受験しやすく

半期や1年間の留学を希望しても、留学先から求められる英語力の基準は高く、これまはなかなか希望と実力が伴っていませんでした。しかし、2012年度よりIELTSの学内実施がはじまり、従来のコンピューターベースの試験では思うようにスコアを上げられなかった学生でも、IELTSであれば基準に達することができたのです。IELTSは英検協会が実施していることから試験への信頼度が高く、受験勉強で慣れ親しんだ記述式の試験問題に学生もなじみやすく、対面式のスピーキング試験であれば個性を出しやすいことも、高いスコアを出せる要因になったことと思います。本学の協定校はいずれも、IELTSのスコアを認めており、学生には留学へ一歩近づくための選択肢の一つとしてIELTSを奨めています。

IELTSの受験に際しては、通常、受験料24,000円ですが、年4回の学内実施で受験する場合は大学が14,000円を補助するため、学生は10,000円で受験することが可能です。また、キャリアアップセミナーとの連携で開催した全20回のIELTS対策講座は受講料が34,000円で、受講した学生はIELTSを1回無料で受験できるようにしました。講座の開催を学内でポスター掲示したところ、学生たちの認知度も高まり、初年度にして受験者200名という結果を導き出すことができました。

留学への精神的、経済的不安を取り除いて

 国際センターがキャンパス内の中心部に移動し、常時CNNなどの英語ニュースを流しているなど国際的な雰囲気を作り、学内に留学生が増えたこともあり、学生の留学への関心は年々高まっていると感じます。そこで、半期以上の留学を予定する学生全員に、一律20万円の奨学金を支給し、経済的な心配なくして留学できる環境を整えました。また、就職活動の不利を心配して留学を躊躇することがないように、「就職と留学」をテーマにした講座をキャリアセンターと共催もし、留学への不安を払拭しています。従来は3年次に留学する学生が多かったのですが、今後は2年次後期から3年次前期に留学したり、就職の内定を得てから、4年生で半期の留学をしたりするようなケースも考えられると思います。

2013年度は異文化コミュケーション学部の学生がIELTSを受験する際には、従来、学生が負担してきた10000円分の受験料を学部が負担することとして、学生は無料でIELTSを受験することができるようになります。こうしてこれからも学内ではますますIELTSの認知度が高まり、受験者が増えていく見込みです。IELTSで留学基準を満たして、留学の希望を実現する。そうした流れがすでに学内では生まれつつあります。

プロフィール

立教大学

1874(明治7)年、東京・築地の外国人居留地にアメリカ聖公会宣教師のチャニング・ムーア・ウィリアムズ主教が開いた聖書と英学を教える私塾「立教学校」を前身とする。1907(明治40)年に立教大学と改称し、文科・商科および予科を置く。1918年に池袋へ移転し、以来、一貫してキリスト教主義に基づく教育を行っている。現在では、池袋と新座にキャンパスを構え、文・異文化コミュニケーション・経済・経営・理・社会・法・観光・コミュニティ福祉・現代心理の10学部を擁する大学である。