同志社大学

日々の授業で鍛え上げたアカデミックスキルが
IELTSに成果をもたらし、留学への自信を高める

同志社大学
グローバル・コミュニケーション学部
玉井 史絵 教授

世界へ通じる対話力を育てるために

創立以来、「国際主義」を教育理念に掲げてきた同志社大学は、時代の要請に基づいたさまざまな国際教育を実施してきました。2009年度には文部科学省の「国際化拠点整備事業(現:大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業)」に選定され、日本を代表する国際的学術拠点として注目を集めています。そして、これまで蓄積してきた教育・研究を進化、発展させ、「世界へ通じる対話力」をキーワードに、2011年度に「グローバル・コミュニケーション学部」を開設しました。本学部は英語と中国語、そして留学生対象の日本語の3コースで構成されています。英語、中国語コースは1年間のStudy Abroad(留学)が必須であり、日本人学生と外国人留学生が共同で推進するSeminar Projectを通じて、国際会議や文化交流などのプロジェクトを企画立案、運営します。社会で通用するためのコミュニケーション能力や、国際的に活躍するための判断力や国際感覚を実践的な学びによって磨きます。

英語コースは、2年次の1年間の留学が必須です。そのため、1年次は留学の準備段階となるコミュニケーション理論を学びます。留学先で必要とされるアカデミックスキルの向上のため、授業では毎週のように、ディスカッションやプレゼンテーションなどを取り入れており、ライティングの授業では毎週エッセイやリサーチペーパーを書くなどの課題が出されます。コミュニケーションのためには、語るべき内容を持つことが必要ですから、与えられたトピックやテーマに基づいて自ら調べ、自らの言葉で考えをまとめるという過程が大切になります。そうして1年間かけて、アカデミックスキルを鍛え上げたうえで、2年次の留学に臨むのです。

IELTSの試験形式は本学部の学びと合致している

留学に際しては、1年次に語学力を証明する成績証明書の提出が必要とされます。本学部の英語コースの学生が留学する5カ国13大学では、IELTSのスコアを認める大学も多く、なかでもイギリスでは留学ビザの申請のためにIELTSのスコア提出が必須となりましたので、学生たちにはIELTSの受験を奨めています。

本学部では入試の段階から、長文をじっくり読んで答えるという記述式の試験問題を出題していることもあり、IELTSのような試験形式にはなじみのある学生が多いようです。また、日々の授業でアカデミックスキルを鍛え上げていますので、IELTSのライティング試験で出題されるような、グラフを読み解くような形式の問題にも取り組みやすいようです。瞬発的な思考力や判断力が求められ、コンピュータスキルも必要とされるほかの検定試験と違って、記述式でじっくりと問題と向き合い、解答していくスタイルは本学部の学生の学びのスタイルと合致しているように思います。スピーキング試験も対面式で実力を測れるため、学生にとっては安心して試験に臨める形式のようです。そのため、1年次での受験にしては、受験した学生はみなよいスコアを出すことができ、留学先で求められるスコアに到達することができました。そして、自信を持って留学へ意識を向けていくことができています。

IELTSを学内で実施できることも、学生にとっては安心材料の一つになっています。通い慣れたキャンパスで、いつも一緒に学んでいる仲間たちと一緒に受験することで、授業の延長のような雰囲気で試験に臨むことができます。試験はメンタル面での影響も大きいので、留学に必要なスコアに到達しなければならない、という緊張感があるなか、安心して受験できる環境をつくるということは大切だと思います。

文化や言語への感受性を高め、思考力や表現力を育てたい

留学中は、正規の授業を選択することで、現地の学生やほかの国からの留学生と交流が深まることと思います。留学前から学内で、日本語コースの外国人留学生と交流する機会はありますが、実際に留学先で出会う仲間とともに学び合い、刺激し合うことで、より一段と英語力やコミュニケーション能力が高まるはずです。1年間の留学を経て、学生たちが今よりも行動的になり、学ぶ意欲を高めて帰ってくることを期待しています。

留学とは必ずしも楽しい経験ばかりではありません。苦しいことも、思い通りにはいかないことも多々あるでしょう。そうしたことを乗り越えた経験が、学生たちのその後に大いに生きてくるはずです。そして帰国してからは、留学で得た経験を自分で整理し、自分のキャリアをどう築いていくのかをしっかりと考えてほしいものです。本学部では、キャンパスでの学びや留学を通じて、学生たちの文化や言語に関する感受性を高め、知識よりも物事を深く考え、表現する力を育てていきたいと考えています。そうした教育こそが、国際的に活躍できる人材を育てていくことにつながるのだと信じています。

プロフィール

同志社大学

1864(元治元)年に日本の将来を憂い、国禁を犯して脱国し、約10年間にわたって欧米で学んでキリスト教の洗礼を受けて帰国した新島襄が、国内外の多くの人々の協力を得て、1875(明治8)年に京都に設立した同志社英学校を前身とする。キリスト教主義に基づき、自治自立の精神を涵養し、国際感覚豊かな人物を育成することを教育理念としている。現在は14学部で構成され、京都市中心部の今出川キャンパスと京都府南部の京田辺キャンパスの2つのキャンパスを擁している。