立命館アジア太平洋大学

多文化・多言語環境で共に学び合う姿勢が身に付く

立命館アジア太平洋大学
言語教育センタージェームズ・ブラックウェル 副センター長(写真右)
アカデミックオフィス 佐間野 有希子 課長補佐(写真左)

日常的に国際色豊かな環境が整う

立命館アジア太平洋大学では現在、84カ国・地域から約2400人の国際学生が集い、約3200人の国内学生とともに学んでいます。学部の授業の8割は日英2言語で開講され、正課・正課外を問わず、国際学生と国内学生がグループを組み、課題を見つけ、議論し、意見をまとめ、発表するという、アクティブで双方向性を大切にした実践的な学びのスタイルは、本学の特色と言えるでしょう。そのような学びを深めるなかで学生たちは、日常的に自分とは異なる文化や異なる価値観に触れ、「多様性」を認める場面に出会います。そして、コミュニケーションの手段としての英語力、大学における学びに必要な英語力を高めていくのです。

実践的な学びで身に付いた高い英語コミュニケーション能力を、どのように示すか。そこで目に見える形で証明するため、学生にはIELTSをはじめとする語学検定試験の受験を推奨しています。とかく学生はスキル偏重になりがちですが、本学では、実体験としての学びの側面と客観的な指標としての検定の側面とを、両側面からバランスをとって見ることが大切だと考えています。

交換留学希望者などがIELTS 学内実施に殺到

本学では海外留学を必修とはしていませんが、キャンパスでの多文化・多言語環境で学んで身につけた「知」と「行動力」を、実際にキャンパス外で実践することを「アクティブ・ラーニング」と位置づけています。短期から長期までさまざまな海外研修や留学のプログラムが用意されており、学生たちは様々な形で海外へ出ていきます。本学の交換留学協定校は2013年3月現在、38カ国113校あり、英語圏に限らず、多様な地域に広がっているのが特徴です。

協定校の8割以上がIELTSを留学の際の語学力基準として設定していますので、留学希望者にはIELTS受験を推奨しています。本学の学生の志向として、「非伝統的な留学先、より面白い経験ができる地域」を選ぶ傾向にあり、北米以外でもヨーロッパの各国への留学を希望する学生は多いようです。IELTSはヨーロッパをはじめ世界中での留学に役立つ試験であることを、学生にも案内しています。

2013年度からIELTSの学内実施を導入しましたが、オンラインで実施を告知したところ、交換留学希望者や大学院進学希望者をはじめ、現在の実力を測りたいという学生たちが、こぞって申し込みました。受験料は国内学生父母の会の補助を受け、学生は1万円で受験できる体制を整えています(日本人学生のみ)。それも人気が殺到した理由のひとつに数えられるかもしれません。

卒業後も学ぶことへの興味を持ち続けてほしい

2回の学内実施を終えて見えてきた課題は、リーディング力とライティング力をいかに伸ばすかということです。日常的に英語を話したり聞いたりすることには慣れていることもあり、対面式の面接試験ではスピーキング力の評価が高いものの、アカデミックな内容の読み書きは苦手としている学生が多かったのです。今後は、留学先で必要となるアカデミック・リーディングやアカデミック・ライティングについて、その重要性や留学前準備の大切さを早い段階から学生の皆さんに伝えて行く必要があると感じています。

交換留学を希望する学生には、就職活動への不安を払拭し、留学後のキャリアをどう築いていくかといったサポート体制が求められます。サポートを行う際は、この多文化な、キャンパス環境での学びや留学先での経験を、単なる経験だけでなく、どのようにして自分の強みや実際のスキルへ転換できるのか、等を意識して話をするようにしています。数字では測れないスキルを可視化することも、求められます。異文化を理解し、多様な価値観を受け止め、自分を発信する力を身につけた学生たちが、卒業してからも学ぶことへの興味を持ち続けることができる人であってほしいと願います。学生生活は社会へ出る前の第一歩。本学でのさまざまな体験を通じて揉まれ、たくましく生きていく力を身につけ、社会へ出て行ってほしいものです。

プロフィール

立命館アジア太平洋大学

2000年に大分県別府市に開学した私立大学。「自由・平和・ヒューマニズム」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」を基本理念に掲げる。84の国・地域から国際学生(留学生)が集まる多文化・多言語環境が整う大学。全授業の約8割を日英2言語で開講しており、国内外における現地参加型の学習(アクティブラーニング)、年2 回入学などの特色をもつ。