立教大学 異文化コミュニケーション学部
IELTS の全員受験で学生のチャンスを広げたい
立教大学 異文化コミュニケーション学部
マーティン・ロン 准教授
全学生が3 カ月から半年間の海外留学研修に参加
立教大学異文化コミュニケーション学部の教育の柱は、コミュニケーションツールとしての言語を習得し、異文化を学び理解することです。そして、言語運用能力の向上と異文化対応能力を養うことを目的に、原則的に全員が2年次秋学期に約3カ月から半年間の海外留学研修を経験します。
この海外留学研修における留学先選択にあたり、まず学生は英語圏または他の5つの言語圏の研修先を検討します。現状では約8割の学生が英語圏を選択します。研修先には、学部間や大学間の協定校で学ぶ「交換留学プログラム」、一定の語学力を持つ学生が参加できる「学部授業履修プログラム」、語学力の習得を主目的とした「語学プログラム」、企業などでの実地研修を含む「インターナショナル・キャリア・ディベロップメント・プログラム」などがあります。留学に向けて、1年次春学期からセミナーや授業を通して留学への意識を高め、1年次の12月に希望のプログラムに出願します。
なかでも学部授業履修やインターンシップを行うプログラムに参加する学生は、約3割にのぼります。私たちは、できるだけ多くの学生に、これらのプログラムに参加、海外の大学でアカデミックな経験を積んでほしいと考えています。しかし、学部授業履修などのプログラムに参加するためには、IELTSなどの英語力を証明するものが必要であるため、スコアが届かずに参加を断念する学生も少なくありません。
IELTS が学生の意識を高める
1年次の12月までに必要なスコアを取得するためには、早い段階から準備をすることが重要です。そこで、学生の意識を高め、チャンスを広げるため、本学部 では2013年度よりIELTSの全員受験を導入しました。立教大学では、年4回までIELTS受験料の一部を補助しています。本学部1年次の年1回の全 員受験については、残りの受験料を学部が負担し、学生は無料で受験ができます。
初年度は9月に全員受験を実施したところ、IELTSの試験直前期には、英語圏へ留学する多くの学生がまさに「やる気に火がついた」状態になりました。 IELTSの受験をきっかけに、英語への意識が急速に高まったのです。一方で、1回の受験で目標スコアを取得できる学生は多くはなく、12月の出願を考え ると、「9月では遅い」という課題も見えてきました。
そこで2014年度は、5月と9月の2回から受験回を選べるようにしました。できれば5月にIELTSを受験して、自分の現在の英語力を知り、試験の形式に慣れてほしい。そして、12月の出願までに再度挑戦して、目標のスコアを取得してほしいと考えています。
さらに、学部では、海外留学研修の学習効果を高めるための正課科目を新しく設置します。これまでは、授業外のガイダンスで留学生活や留学先についての情報 を提供することで、海外留学研修の準備を学生にさせてきましたが、2014年度以降は、この科目の中で、4年間の学びの中に海外留学研修をどう位置づけ、 その後の人生、キャリア形成にどのように結びつけていくのかを考え、行動に移す力を身につけさせようと考えています。海外留学研修の経験を最大限に有効な ものにするためには、何を学び、何をしなければならないのかについて、ディスカッションやプレゼンテーション、フィードバックなどを通して深めていきま す。
留学前にしっかりとした目的意識を持つことは、留学生活の充実のためにも、長期的な学生の成長のためにも、大変重要なことです。一人でも多くの学生が希望するプログラムで留学できるよう、今後も“Chance” と“Choice” をより広げていきたいと思います。
プロフィール
立教大学
アメリカ人宣教師のウィリアムズ主教が、1874年に東京・築地に開いた、聖書と英字を教える私塾「立教学校」を前身とする。1907年に立教大学と改称。開学以来、キリスト教精神と建学の精神“自由の学府” に基づく教育を行う。文・異文化コミュニケーション・経済・経営・理・社会・法・観光・コミュニティ福祉・現代心理の10学部を擁する総合大学。