大阪大学 国際教育交流センター
IELTSから広がる交換留学への可能性
大阪大学 国際教育交流センター
歳岡冴香 特任助教
近藤 佐知彦 教授
国際交流オフィス学生交流推進課 中島花子様
留学の先を見据えたプランづくりを
国際教育交流センターは1994年に学内共同教育研究施設として設置された留学生センターを発展させた組織です。2013年5月1日現在には、およそ2000名を数える本学留学生への日本語および日本文化・日本事情教育などを行っています。また、本学学生の短期留学プログラムの運営や海外留学を希望する学生への情報提供やサポートを行っています。留学する目的は学生によりさまざまですが、短期留学の延長線上に見据える長期留学、長期留学から帰国したのちは就職するのか進学するのか、といった留学後のプランまで考えて臨んでほしいと思います。そのためにも、留学から帰国した学生と派遣内定者の交流会を開催したり、協定校からの留学生と交流する場を設けたりすることで、留学を具体的にイメージできるようにしています。
IELTS に特化したエセックス大学語学研修
本学の学生の留学については、年2回募集する協定校への交換留学制度、春休みや夏休みを利用した短期語学研修や海外研修プログラムを用意しています。これらを利用して、年間約1400名の学生が海外留学を経験しています。
交換留学で求められる高い語学力の基準を満たすためには、まず、イギリス・エセックス大学の夏季語学研修プログラムや、オーストラリア・モナシュ大学の春季語学研修プログラムへの参加を呼びかけています。エセックス大学の夏季語学研修プログラムでは、研修前と研修終盤の2回、IELTS受験を義務づけています。研修はIELTSの試験に特化した内容となっており、スピーキングやリスニングの力がついていきます。もともと本学学生のリーディング力は高いので、ライティングには今後何らかの対策が必要だと感じています。2013年度は研修参加者38名のうち、IELTSスコア6.0以上の取得者は、研修前10人(26%)から、研修終盤には17人(48%)に達し、研修の効果の高さが実証されました。さらに、参加者のうち毎年7名前後が、帰国後に交換留学に応募し、内定を獲得しています。
交換留学者数を引き上げるために
本学では現在、全学年の4%が留学を経験していますが、今後は8%にまで増やしていきたいと考えています。そのためには、留学先での学びに対応できる力を留学前からつけていかなければなりません。英語による科目履修を増やす、英語力を強化してIELTSのスコアを伸ばすなどの対応策が必要になるでしょう。
本学の協定校への交換留学はすべて、IELTSのスコアで応募することができます。2013年度の留学申請者164人のうち、IELTSスコアを利用した学生は35人(21%)でした。2012年度からはIELTSの学内実施を導入し、対策講座を受講したうえで、試験を受験する流れができています。今後はさらにIELTSの受験機会を増やし、学生の認知を広げていく取り組みも必要だと思います。そして、留学によるキャリア形成を可視化していくことで、留学への動機付け、語学学習への動機付けをしていくことができると考えています。
プロフィール
大阪大学
幕末の蘭方医で蘭学者の緒方洪庵が塾主を務めた「適塾」を原点とし、1931(昭和6)年に医学部と理学部の2学部によって、わが国6番目の帝国大学として創設。現在は11学部16研究科5附置研究所を擁する総合大学として、吹田、豊中、箕面にキャンパスを構える。自由と進取の精神に基づく教育を伝統に、世界屈指の研究型総合大学をめざす。
大阪大学 吹田キャンパス 国際教育交流センター
住所 :〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-1