東洋大学

海外留学派遣数を10年間で6倍に増やすための全学的な取り組みを

東洋大学
国際地域学部
芦沢真五 教授
佐藤 郁 准教授

ハードルの高さを感じずに受験が可能

東洋大学ではもともと長期留学の希望者が少なかったのですが、2012年の創立125周年を機に「国際化」を推進し、国内外で活躍できるグローバル人財の育成に取り組むに伴い、この数年で長期留学希望者が増えてきました。2013年度における学生の海外派遣は、490名でした。このたびスーパーグローバル大学に選定され、今後10年間で派遣数を6倍に増やすという目標を掲げています。そして、長期留学する学生の数を増やせるような体制を整えていきたいと考えています。

長期留学者数を増やすにあたっては、これまで2技能型の試験に頼っていた語学力試験を今後は、4技能型試験の受験へと移行していく必要があります。近年では、協定校から4技能型試験のスコア提出が求められる傾向にあり、英国やアイルランド、北米でもIELTSのスコアが広く認められています。IELTSはアカデミック・モジュールの試験であっても、アカデミックな内容だけに限らずジェネラルな問題もあるため、留学先で必要となる実用的な英語力を身につけられることが魅力です。また、記述式のテストで親しみやすく、スピーキングテストも対面式であることからハードルの高さを感じずに受験でき、血の通ったコミュニケーションを取りながら実力を測れることも、日本人には受験しやすい理由であると思います。

団体受験や対策講座を全学へ広げる

本学では、2014年度から年2回、国際地域学部でIELTSの団体受験を導入し、受験料補助の制度も整えました。夏の実施では受験者が20名でしたが、冬の実施では50名へと受験者が倍増し、学内での試験の認知度が徐々に高まっているようです。公開会場での受験は2日間にわたりますが、学内実施の団体受験であれば、1日で試験が終了し、学生にとっても学び慣れた環境で受験できる安心感があることが、メリットだと言えます。

IELTS団体受験に際しては、1週間の「IELTS対策講座」も実施しました。高校まではアメリカ英語に触れることが多いなか、イギリス英語に触れることができ、4技能を短期間で高められたと、受講生には好評でした。2015年度はこの取り組みを全学へ広げ、5月から2カ月弱の「対策講座」を開催する予定です。全学総合科目の「留学のすすめ」や「国際キャリア概論」の授業内でもIELTSについて紹介し、長期留学の促進やIELTS受験の促進につなげていきます。

世界中から人財の集まる大学を目指して

海外に渡ることが困難だった明治期に、実に三度もの世界視察旅行に出かけた創立者・井上円了の精神を受け継ぐ本学は、日本におけるグローバルな大学のひとつとして、キャンパスを首都圏に構える立地の良さを存分に生かし、「グローバルリーダーの集うアジアのハブ大学」を目指します。現在、国際地域グローバルオフィスやランゲージセンターの設置、学習成果を可視化するEポートフォリオの導入、海外協定校の拡大、短中期から長期まで幅広い留学機会の提供、海外留学希望者を対象とした奨学金制度の充実まで、様々な大学改革・教育改革が進行中です。今後は、世界を舞台に先端的な役割を担う「ニューエリート」と、国際社会の中核を担う「東洋グローバルリーダー」の育成を目標とし、新設予定の国際学部国際イノベーション学科(仮称)では日本人学生の1年間の留学を必須とし、実践的なコミュニケーション能力と国際通用性を養います。さらに、東洋大学の学生だけでなくあらゆる世代が受講できるグローバル教育を提供し、柔軟な国際編入制度を導入して全世界から留学生を受け入れる体制を整えるほか、国内外の専門機関・企業との協力関係確立、入試における外部試験の活用や国際バカロレア入試の実施、海外からの出願などの改革にも取り組んでまいります。

プロフィール

東洋大学

「諸学の基礎は哲学にあり」を建学の精神とし、哲学者・井上円了が1887年に創立。自ら考え、行動する姿勢を身につける教育を目指す。2012年、創立125周年を機に「哲学教育」「国際化」「キャリア教育」を3つの柱に掲げ、「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援事業」や「スーパーグローバル大学創成支援」による教育改革と国際化を推進している。

東洋大学 白山キャンパス
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