東京大学

「英語能力試験奨励制度」でIELTS受験を支援

大学院総合文化研究科・教養学部附属国際交流センター

グローバリゼーションオフィス 特任助教 下山田 翔 先生


「国際総合力」を培うきっかけをつくる認定プログラム「Go Global Gateway」

 東京大学では、「世界の多様な人々と共に生き、共に働く力」を「国際総合力」と定義し、学生生活を通じて、その力を伸ばしていってほしいと考えています。そこで、2018年度入学以降の全ての学部学生を対象として、入学後の早い段階から世界を意識し、国際総合力を身につけるためにどのような学びや体験が必要かを、自ら考え、実行し、条件を満たした場合に認定証を授与する「Go Global Gateway」というプログラムを、2018年度より開始しました。2021年1月時点で、 1年生が約470名、2年生が約1,400名、3年生が約800名の合計約2,670名が登録しています。

 このプログラムは、単なる語学の堪能さや表層的な外国理解ではなく、異文化や他者について深く考える教養と洞察力を身につけるきっかけを作るものです。プログラムに参加することで学生の国際感覚が鍛えられ、広い視野をもって、さまざまなフィールドで活躍していくことを期待しています。認定証を得ることはゴールではありません。あくまでも、国際総合力を培うという目的に向けた通過点として捉えてほしいと考えています。


4つのカテゴリーのアクティビティに参加し登録者には短期留学プログラムの機会も

 プログラムに登録すると、「外国語学修」「 授業・コース」「 海外経験」「 国際交流活動」の4つのカテゴリーのアクティビティに取り組みます。そのうち3つ以上に取り組むと、国際総合力の5つの要素「コミュニケーションの力をつける」 「自信を持って挑戦する」 「自らを開き、多様性を受け入れる」 「他者と協働し、リーダーシップをとる」「 自己を相対化し、国際感覚をもつ」について、自分がどのような体験をし、どのような力を身につけたのかを記載する認定申請レポートを提出します。そしてレポートが承認されれば、認定証が授与されます。アクティビティは、国内外の教育プログラムをはじめ、留学や海外でのボランティア、インターンシップ、国際交流を目的としたサークル活動など、さまざまです。

 Go Global Gatewayでは登録者を対象とした海外大学との短期留学プログラム、著名人や海外で活躍する卒業生を招いた講演会などの独自のイベントを実施しています。例年、海外大学との短期留学プログラムには45名ほどが参加しています。1~2週間の日程で、海外の大学での語学学習や現地の学生との交流、講義の受講などを行います。しかし、昨年度はコロナ禍ということもあり、5つのプログラムをオンラインで開催することになりました。選考を経た約150名の学生が参加する予定です。


IELTSの受験料を全額負担し英語力向上のための学習も支援

 Go Global Gatewayでは、登録している学生の英語力を把握し、在学中の語学力向上や留学への取り組みを支援する目的で、「英語能力試験奨励制度」を設けています。この制度は、IELTS等の語学検定試験の受験料を大学が全額負担するもので、在学中に2回まで利用することができます。募集人員は全体で500名とし、IELTSは250名を定員としています。2019年度は約100名がIELTSを受験しました。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により、4月~5月は試験が実施されなかったにもかかわらず、約150名が受験しました。

 さらに、英語学習に取り組む意欲の高い学生向けの支援として、2020年9月には、民間のオンライン英語学習講座の受講料を1カ月限定で全額負担しました。

 Go Global Gatewayには、最初から英語力が高く、海外志向がある学生のみならず、むしろ今までそうした接点がなかった学生にも大いに参加してもらいたいです。さまざまなアクティビティに参加していくなかで、将来の留学を視野に入れて語学力を磨きたい、という意欲を高めている学生の声も多く聞かれます。今後も世の中の状況の変化を見据えながら、学生たちが国際総合力を培うきっかけを作っていきたいと考えています。

「Go Global Gateway」ウェブサイト

https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/go-gateway/ja/index.html

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1877年に設立。駒場キャンパスでは主に教養課程、本郷キャンパスでは専門教育を行う。学部入学者は全員が6つの科類(文科一類、二類、三類、理科一類、二類、三類)に分かれて教養学部に所属し、2年間の前期課程を履修する。その後、教養学部を含む10学部に分かれて2年間の後期課程を履修する。現在、各部局および全学のグローバルキャンパス推進本部が、教育・研究の国際ネットワークを強化している。