玉川大学

全員必須の海外留学プログラムを4年間のカリキュラムにビルトイン 留学前後のIELTSでより効果的に

玉川大学

文学部 英語教育学科 主任 松本 博文 教授 (写真右)

文学部 英語教育学科 教務担当 鈴木 彩子 准教授 (写真左)

英語教育学科を新設

高度な英語力と国際感覚を備えた教師・社会人を養成

玉川大学では、2015年4月に、文学部に英語教育学科を開設しました。同学科では「高度な英語力と国際感覚を備えた英語教師および社会で活躍できる人材の養成」をめざし、「英語教員養成コース」と「ELF*コミュニケーションコース」を設置しています。

英語教育学科の最大の特徴は、2年次秋学期から3年次春学期まで2セメスター間の海外留学を全員必須としていることです。この留学プログラムは、4年間のカリキュラムの中にストーリー性を持って組み込まれています。留学前には留学に必要な基礎知識やスキルの養成や危機管理等についても学ぶ「留学準備教育」を実施。帰国後は、「留学フォローアップ教育」によって、留学で得た英語力や国際感覚を理論的に検討し、学びを深めます。一貫性のある学びの中で、学生たちは留学経験を最大限に活かし、将来のキャリアにつなげて、社会に貢献してくれると期待しています。

留学プログラムを実行するにあたって2016年度から導入したのが、IELTSです。留学前(12月)の1年生と留学後(7月)の3年生全員が受験をします。

IELTSは、海外の多くの学校で認められていること、4技能を測ることのできる試験であること、また、用いられている英語が実用的で、試験内容と通常の英語の授業との乖離があまりないことから採用しました。スピーキングのテストが対面であるため、学生たちにとって心理的なハードルが低いことも利点だと思います。

受験対策として、大学側で特別な授業を行うことはなく、学生の自主性に任せています。ただ、学内の国際教育センターでは、試験や教材の情報提供を行っていますし、サポート・デスク(学修支援)では個別の学修相談も受け付けています。ツールは用意しているので、それをどう使うかは学生次第。手取り足取りではないかもしれませんが、海外に行くと、常に自分で考え自分で行動することが求められます。留学前からそのようなマインドを持ってほしいと考えているのです。

*ELF=English as a Lingua Francaの略。 共通の母語を持たない人同士のコミュニケーションに使われる英語。

留学前後で確かな成果が

弱点を知り、モチベーションアップにも

第1期生が2017年6月に帰国し、IELTSを受験したところ、留学前後で平均約1.0スコアアップという結果が出ました。スキル別のサブスコアを見ると、2.0?3.0アップした学生もいます。留学の成果がはっきりと数字で表れたのは喜ばしいことですが、IELTSの効果はそれだけではありません。学生にとっての利点は、自分の思い違いに気づき、得意・不得意が客観的に明らかになったこと、今後何を学ぶべきかが分かり、学習のモチベーションが上がったことです。英検が実施するIELTSの利点としては、学生のレベルを把握し一括管理できるシステムがあり、適切なアドバイスや指導ができること。また研究的な側面では、どのような授業や指導が、どのスキルの向上に有効かが分析でき、留学プログラムの評価にもつながります。さらに、留学の効果を数字で示せたことで、今後のプログラムの充実にもつながると考えています。

プロフィール

玉川大学

1947年に開学。1929年、創立者小原國芳が「全人教育」を教育信条に掲げて開校した玉川学園を母体とし、幼稚園から大学院までを擁する。大学では、文学部、農学部、工学部、経営学部、教育学部、芸術学部、リベラルアーツ学部、観光学部の8学部16学科で多彩な教育・研究を実践。2015年に開講した文学部英語教育学科では高い英語力と国際感覚を持つ人材養成をめざし、2セメスター間の留学を必須としている。