コラム
訪日外国人の増加とともに、販売・サービスの現場では外国人をお客様として迎える機会がますます増えています。
多忙な現場で、いかに外国人のお客様への接客力、英会話スキルを高めていくか、頭を悩ます人事・教育担当者様も多いのではないでしょうか。
去る2017年3月8日に、NHK『ラジオ英会話』の講師であり、通信講座「売場のやさしい英会話」を手掛けた遠山顕氏を迎え、販売・サービスの現場ですぐに実践できる英会話表現と外国人とのコミュニケーション方法をお伝えする全員参加型のイベントを産業能率大学にて開催しました。
当日先生がイベントでお話しした中から、選りすぐりの売場での定型表現(コミュニケーション)と、日本と英語圏の文化の違いについて、4回の連載でご紹介します。
今回は、「お客様の迎え方」です。
お客様を店舗に迎えるとき、まず意識しなければいけないことは、日本と海外では、店員によるお客様への接し方が異なる点です。
文化の違いで変わる受け止め方
日本では、洋服のお店などの店員さんは、お客様にぴたりと付いて回る方がいらっしゃいます。これは、日本人客であればよいのですが(苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが)、外国人には良くない印象を与えかねません。
なぜなら、英米では店員がお客様のあとをついていくことは、お店側が「Shoplifting」(万引)を警戒して行う行為であり、お客様に居心地の悪い思いをさせてしまうからです。
日本人同士では自然なやり取りでも、文化の異なる海外の方を相手にすると、違和感を与えてしまう場合が異文化間にはあるもので、この例のように注意が必要です。売場では「接し過ぎないこと」。これは覚えておくとよいでしょう。
大切な「Reciprocity」の考え方
また、文化の違いという点では、「Reciprocity」(互恵)も大切です。「互いに恵む」とは「何かをもらったら同じ量で返す」という意味です。売場の英会話でも、「Reciprocal」(互恵的)な関係を意識しなければいけません。例えば、お客様から「Thank you.」と声を掛けられたら、笑顔でお辞儀は日本ならよいのですが、英語を使う場合は必ず「You’re welcome.」と返す必要がある、というわけです。
お辞儀だけではなく、あるいはお辞儀よりも、きちんと「You're welcome.」と言えるかどうか。売場が海外の方のファンを増やすためにはこれが重要です。YOU ARE WELCOME.と1語ずつ無表情で言うのでなく、より短くソフトで優しい言い回しを覚えてください。
このように、日本と英語圏とでは、店員による接し方の違いがあることは理解しておくとよいでしょう。
次に、お客様を迎える際の英会話の例、定型表現をご紹介します。
もし、「May I help you?」のあとに、お客さんから「I'm just looking.」とあれば、見ているだけ、ということですから、「All right. Let me know if you need help.」(どうぞご覧ください。もし手伝いが必要でしたらお知らせください)と答えて、お客様から何かアクションがあるまでは、フォローしないようにしましょう。All right.にも独特の尻上がりの抑揚があり、これもマスターしましょう。
NHKラジオ語学英会話講座 元講師
東京大学EMP講師
COMUNICA, Inc.代表