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コラム

「江藤友佳先生のビジネスで役立つ英語力アップのヒントと学習法」

第2回 辞書を使って学習効果アップ

外国語をマスターするときに語彙力は必須です。ほとんどの英語教材には語彙一覧があり、単語が学習できる仕組みになっています。しかし、語彙一覧に記載されている単語だけを学ぶのはもったいない!もし学習中に「この単語は初めてだ」「この単語って何だっけ」と思ったら、語彙を増やすチャンスです!日々の語彙力アップが最終的な英語力アップへの近道につながります。

単語学習の強い味方が辞書です。最近は分厚くて重い辞書を持ち歩かなくてもWEBサイトや専用アプリで簡単に検索できますが、それらの辞書を有効に活用する学習方法を紹介します。この学習方法は、WEBサイトやアプリ、紙の辞書、電子辞書、どれを使っても同じです。今回は無料で使えるオンライン辞書 weblio を例に取って紹介します。次のステップに沿って辞書を活用すると確実に力がつきます。

STEP 1 複数の意味を確認する

英語の単語は、一般的に複数の意味と用法があるものが非常に多いです。例えば長文を読んでいるとき、「何か文意が通らない気がする…」と思ったら、その文脈において、語句の適切な意味(品詞)が理解できているかを確認しましょう。まずは文中の単語の位置から品詞の目星をつけます。そして、目星をつけた品詞の意味を優先的に確認します。調べた単語の品詞と意味が分かったら、次は同じ単語の他の品詞と意味にも目を通しましょう。例えば、簡単な take を例に挙げましょう。weblio で見る『研究社 新英和中辞典』では、take の意味の数はなんと!他動詞84 個、自動詞8個、名詞4個もあります。辞書では、先に出てくる品詞や意味が第一語義で一般的な用法です。つまり、take の場合は他動詞のほうが自動詞よりも一般的ということです。他動詞は目的語が必要なので、take のあとには目的語が続くのが一般的だということがわかります(例:You should take an umbrella with you. 「傘を持っていったほうがいいよ」)。その他にも、「こういう意味もあるんだ」とびっくりするような意味や使い方の発見もあるでしょう。全ての意味をその時に覚える必要はありませんが、調べた単語の意味を1つずつ読み進め理解していけば、かなりの語彙力が身につきます。まずは、各品詞の最初に掲載されている一般的な用法を覚え、次にその次の意味を3つずつ覚える、といったルールをご自身で決めて覚えていくとよいでしょう。

STEP 2 複数の辞書を確認する

1回検索すれば複数の辞書を見ることができるのがオンライン辞書のよい点です。特に weblio を活用すると複数の辞書のコンテンツを簡単に確認できます。weblio では『研究社 新英和中辞典』が一番上に掲載されていることがほとんどですが、その下へとスクロールしていくと単語によっては図解付きでその単語の持つ意味が説明されている『Eゲイト英和辞典』の記載があります。文字情報だけではなく単語の持つ意味を図解で見ると、イメージがわかり理解しやすくなります。このように用途に合わせ2種類以上の辞書で内容を確認することも、とても有効です。


STEP 3 フレーズを確認する

単語はできるだけフレーズ(成句)やコロケーション(連語:慣用的に用いられる決まった英単語の組み合わせ。例:have lunch, heavy rain等)で覚えていくことが大切です。「フレーズ」と呼ばれるものの中に、句動詞があります。(動詞+前置詞、動詞+副詞、動詞+副詞+前置詞といった2つ以上の単語から成り、そのまとまりで一つの動詞の意味を持つもの。群動詞とも言う。)例えば count on ... は、【count [動詞] 数える】の本来の意味からは遠い「~を頼りにする」という意味になります。これらは語句のかたまりで覚えていかなければ文意が通りません。このようなフレーズも weblio 内で多く紹介されています。構文(文法に沿って文の組み立ての決まった型、文構造。例: as A as B 「BほどにAである」)も同様です。是非、辞書で一つ一つ確認し、覚えていきましょう。


STEP 4 例文をたくさん読んで用法を理解する

辞書には例文や表現フレーズが相当数掲載されています。それらを大量に確認して用法の感覚を掴みましょう。例えば前述の weblio で見る take では、意味を細分化すると100 個近くもあり、それに対して3万以上の表現が掲載されています。単語の意味が8個しかない promote ですら、6,000件以上掲載されています。特定の単語が使われている文に多く触れていれば、使われる場面やニュアンスが徐々にわかってきます。

語彙力アップのためには、是非英語の書籍をコツコツ読み進めましょう。そして、意味が分からない単語は自分で調べましょう。ビジネスパーソンにとっては自学自習を習慣にすることが大切です。辞書を調べる時間への投資は、結果として英語力アップへの近道です! “better study habits”(よりよい学習習慣)を身につけましょう。

 

江藤 友佳(Eto Yuka)氏

Y.E.Dインターナショナル合同会社 CEO
英検通信教育教材「英語でビジネスコミュニケーション入門」監修・執筆者

クレアモントマッケナ大学卒業、コロンビア大学大学院Teachers College修士号取得(英語教授法)。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。その後研修業界へ転職し、多くの教材制作や企業研修、教員研修を担当。楽天で社内公用語英語化に向けた社員教育に従事したのちに独立。現在は教材制作、企業研修、アドバイザリーサービスを提供している。
著書に 『ロジカルに伝わる 英語プレゼンテーション』、共著書に 『英語の数字ルールブック』(いずれもクロスメディア・ランゲージ)がある。

※所属・肩書きは掲載当時のものです。

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