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コラム

「江藤友佳先生のビジネスで役立つ英語力アップのヒントと学習法」

第3回 スピーキング力を測るテストの攻略 ~苦手を克服できる!図表の説明 かんたん 3 STEPS~

第3回では図表の説明について取り上げましょう。

近年、需要が高まってきている英語スピーキングテストですが、中でもビジネスパーソン向けのテストでは単に「流暢さ」や「理解力」「伝える力」を測るだけではなく、ビジネスに役立つスキルとなる図表の説明を求める問題が出題されています。一方で仕事柄、このタスクに苦手意識があるという学習者の声をよく耳にします。

学生であってもビジネスパーソンであっても、図表の情報を自分の言葉で説明する機会は少なくないでしょう。そもそも日本語での説明さえも苦手としている人がいるのですから、図表を読み解きながら外国語である英語で説明するのが難しいと感じるのは当然です。

日本語であっても英語であっても、まずは図表の説明に必要な語句の習得が不可欠です。そして効率よくかつ効果的に説明する力を身に付けるには、習得した表現を使う練習を重ね、慣れていくことに尽きます。そして図表説明の基本的な考え方を理解し、必要な語彙をグループ分けして頭の中の引き出しに入れておけば、どの引き出しからどの語句を引っ張り出すべきか瞬時に判断できるようになります。

まずは「引き出し」の準備を整え、次にこれから述べる3つのステップを踏まえると図表の情報をすっきり整理することができ、効率よく説明することができるようになりますよ!

STEP 1 何の図表なのか、概要を伝える

ほとんどの図表にはタイトルがあります。まずはそのタイトルを使って、何の図表かを伝えましょう。表の場合は “This table shows the survey result from our app users.” (この表は我々のアプリユーザーのアンケート結果を示します) といった形で伝えるのが第1ステップです。

グラフの場合も同様です。illustrate「~を図示する・説明する」を用いて “This graph illustrates the sales in 20XX.” (このグラフは20XX年の売上を示します) などと伝えます。時間の経過を示すグラフは一般的にx軸に年や月のデータが置かれることが多いので、わざわざx/y軸が示すものを説明する必要はありませんが、わかりにくい場合には “The horizontal axis on the graph shows A, and the vertical axis shows B.” (グラフのx軸〈横軸〉はAを示し、y軸〈縦軸〉はBを示します) などと伝えると親切です。


STEP 2 傾向や特徴など、目を向けてほしい内容を示す

次に Step 2 として、その図表の動向から傾向や特徴、注目したい点を伝えます。まずは全体の傾向を伝えましょう。表を見せながら ‘sales have increased’(売上が増加した)、‘sales have decreased’(売上が減少した)のほか、 ‘sales have more than doubled’(売上が2倍以上になった)、 ‘sales have almost tripled’(売上がほぼ3倍になった)のように倍数を使って表すこともできます。

次に目立つ箇所について説明しましょう。 “The sales were the highest in April.” (売上は4月が最も高かった)や “The sales were the lowest in October.”(売上は10月が最も低かった)のように、一番高い数値や低い数値に焦点を当てるとよいでしょう。

また、比較をしながら目立つところを伝えることもできます。 “Compared to June, the sales in July were very low.” (6月と比較すると7月の売上はとても低かった)のように compared to A 「Aと比較すると」という表現が使えます。

副詞を使ってデータの推移の様子や目立つ箇所について伝えると、より説明がわかりやすくなります。例えば “The sales are gradually increasing.”(売上は少しずつ増加しています)や、“The sales suddenly dropped.” (売上が突然下がりました)など、gradually 「少しずつ、徐々に」や suddenly 「急に、突然」という副詞を用い表すことができます。gradually や suddenly と同じ意味を持つ副詞は他にも以下の表現があります。

  • ●「少しずつ」:slightly, slowly, somewhat
  • ●「急に」: drastically, rapidly, sharply, significantly

このような傾向を表すのに役立つ副詞を頭の中に入れておきましょう。


STEP 3 考察を述べる

最後の Step は自身の考察を述べることです。テストではデータの説明だけを求める問題もありますが、実社会ではデータを基に議論をしたり決断を下したりします。そのため、プレゼンテーションや説明の最後には話し手(発表者)が自身の考察を述べます。その時 ‘I think … .’ の表現でもよいのですが、そればかりでは表現の幅がなく、メリハリがありません。その他、以下のような表現も活用してニュアンスにバリエーションを持たせましょう。

  • I believe we should run an advertising campaign.
    広告を打ってキャンペーンをするべきだと思います(信じています)
  • I suggest we run an advertising campaign.
    広告を打ってキャンペーンをすることを提案します
  • I recommend we run an advertising campaign.
    広告を打ってキャンペーンをすることを勧めたいと思います(勧めます)

 

いかがでしょうか。3つのステップに分けて考えれば、そんなに難しくありませんよね。まずは必要な語句や表現をしっかり身に付けておきましょう!『~マインドセットからはじめる~ 英語でビジネスコミュニケーション入門』講座の Week 6 と Week 7 で、関連語句の説明含め、より詳しく図表の説明方法を学ぶことができます。

3つのステップと各ステップで役立つ表現を覚えてしまえば、図表の説明はパターン化され、難しくありません。ぜひ教材を参考に苦手意識のある方はこの機会に克服しましょう!

 

江藤 友佳(Eto Yuka)氏

Y.E.Dインターナショナル合同会社 CEO
英検通信教育教材「英語でビジネスコミュニケーション入門」監修・執筆者

クレアモントマッケナ大学卒業、コロンビア大学大学院Teachers College修士号取得(英語教授法)。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。その後研修業界へ転職し、多くの教材制作や企業研修、教員研修を担当。楽天で社内公用語英語化に向けた社員教育に従事したのちに独立。現在は教材制作、企業研修、アドバイザリーサービスを提供している。
著書に 『ロジカルに伝わる 英語プレゼンテーション』、共著書に 『英語の数字ルールブック』(いずれもクロスメディア・ランゲージ)がある。

※所属・肩書きは掲載当時のものです。

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