知的財産権の取扱いに関する統一ガイドライン

はじめに

公益財団法人 日本英語検定協会(以下「当協会」といいます。)は、公益財団法人として、これまで60余年にわたり、日常の社会生活に必要な実用英語の習得及び普及向上に資することを社会的使命と認識し、実用英語技能検定(以下「英検」といいます。)の制作、採点、実施・運用等を通じて日本における実用英語能力の養成、生涯学習の振興に寄与してまいりました。今後もこの理念が変わることはございません。

さて、「英検」を取り巻く環境に目を向けますと、現在「英検」対策をおこなう塾や出版物、またアプリが数多く存在しています。(以下、これらを取り扱うすべての事業社を「事業者」といいます。)当協会としましては、英語学習者が数多あるツールやコンテンツの中から、それぞれ自身にあったものを選択し、英語能力向上にお役立ていただいているのであればたいへん喜ばしく、有益な事業者の支援に拝謝いたします。

一方で、十分に品質や精度が担保されていない指導法や商材が存在するとの情報が当協会に寄せられ、年々多くなってきているように感じられます。

さらに当協会や多くの事業者の努力により普及した公益事業としての「英検」の信用や価値に便乗し、「英検」の過去問等の当協会の知的財産を模倣、もしくは無断で使用する等といった手段はもちろん、AIや機械学習等を利用したリバースエンジニアリングを行う等様々な手段を用いて商材を作成し、その当該商材を安易かつ過剰に市場に供給し私益を追及する個人・事業者も散見され、当協会としても看過し難い状況にあります。

当協会としては、このような状況は英語学習者にとって必ずしも有益なものではなく、尚且つ「英検」の公益性を損ないかねないと考えています。

以上のような状況を踏まえて、今後、当協会としては、英語学習者に良質な学習機会を提供する観点、また「英検」の公益性の観点から、「英検」の信用、価値に便乗して私益を追求する個人・事業者について適切な対応をする所存です。

本ガイドラインは、「英検」に蓄積された公益性ある信用、価値を保護し、英語学習者によって望ましい環境を構築するという目標のもと、「英検」の過去問を含む当協会の著作物、ノウハウ、及び「英検」の商標に関する使用方法や使用範囲に関するルールを策定するものです。これらの使用を希望される場合は、本ガイドラインを遵守していただくことが条件となりますので、十分ご理解いただいたうえで当協会所定の手続による申請を行っていただきますようお願い申し上げます。

第1 適用

1.

本ガイドラインは、当協会に権利が帰属するすべてのコンテンツ、「英検」の登録商標及びノウハウ等の知的財産権その他一切の権利に適用されます。これらの利用を希望する者は、必ず本ガイドラインを確認し、その内容に同意した上で、行うものとします。

2.

ブランドポリシー(「英検」商標使用に関するガイドライン)は、本ガイドラインの公表をもって、本ガイドラインに置き換わるものとします。

3.

当協会は本ガイドラインを変更することができます。

第2 過去問を含むコンテンツ等について

1. 当協会コンテンツに係る権利の帰属について

(1)

当協会が実施する実用英語技能検定その他の検定試験(ホームページ上で過去公開され、現在公開中のもの、受検生に配布したもの、当協会の許可を得て販売されたものを含みますが、これに限られません。以下総称して「検定」といいます。)に含まれる問題文、イラスト、問題レイアウト並びに当協会のホームページ上で提供されるシンボルマーク、ロゴ、イラスト、写真、図面、文章、動画、その他のすべてのコンテンツ(以下、総称して「当協会コンテンツ」といいます)に係る著作権(著作権法27条及び28条に掲げる権利を含みます。以下同様とします。)その他の知的財産権は、当協会に帰属します。

(2)

当協会の保有するノウハウ※(以下「当協会ノウハウ」といいます。)は当協会に帰属します。なお当協会は、当協会ノウハウを特許出願する等の方法により保護しています。

  • 検定の実施・運用方法(受験上の配慮を要する方への特別措置を含む)
  • 問題制作方法・採点方法
  • 検定の実施画面、面接カード、イラスト、マークシート、成績証明書他
  • 生涯学習アカウント

等が含まれますがこれに限られません。

2. 営利目的による無断利用の禁止

(1)

営利を目的として当協会コンテンツ又は当協会ノウハウを利用する行為、又はその準備を目的とした行為は、当協会の事前の書面又は電磁的方法による許可がない限り禁止いたします。利用を希望する場合は、本ガイドラインに定める方法又は当協会が指定する方法に従った申請手続が必要です。

(2)

前項の規定にかかわらず、学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除き、構造改革特別区域法上の学校設置会社を含みます。)において教育を担任する者が教育目的で当協会コンテンツを利用する場合、申請手続は不要です。ただし、著作権法35条その他適用法令に則って利用するものとします。

3. 私的使用の範囲を超えた利用の禁止

過去問を含む当協会コンテンツを、私的使用の範囲を超えて無断で転載・コピーする行為は禁止いたします。営利目的や商用に使用する目的でのコピー、不特定多数に配布する目的でのコピーは、私的使用の範囲を超えるものと解釈されます。なお、個人のブログやSNSに過去問等の著作物を掲載することは、一部のみの場合や、営利を目的とせず、個人使用目的で作っている場合でも、著作権法上許容されませんのでご遠慮ください。当協会が個別に許可することもいたしかねます。

4. 機械学習等の禁止

過去問を含む当協会コンテンツは、機械学習、リバースエンジニアリング、その他如何なる手段であっても、情報解析のために利用することを禁止します。当協会が個別に許可することもいたしかねます。

第3 「英検」商標について

1. 「英検」商標に係る権利の帰属等について

当協会及び「英検」の商標、標章、ロゴマーク、商号等に関する権利は、当協会に帰属し、商標法、不正競争防止法、商法その他の法律で保護されています。「英検」商標(「英検」、「英検Jr.」、「英検IBA」その他当協会の保有する一切の商標登録をいいます。以下同じです。)の使用を希望する場合は、本ガイドラインに定める方法又は当協会が指定する方法に従った申請手続が必要です。

2. 「英検」商標の未許可使用の禁止

(1)

下記4.に規定する場合を除き、「英検」商標の使用は、当協会の許可がない限り禁止いたします。

(2)

「英検」商標の使用許可は、権利者である当協会において、本ガイドラインの目的に則り、許可申請の内容その他一切の事情を考慮の上、個別に許否を判断します。

(3)

過去に「英検」商標の使用許可を受けた申請者が使用期間満了後に継続して使用を希望する場合には、再度申請をする必要があります。この場合においても、当協会は申請の度に使用の許否を判断します。したがって、過去に使用許可を受けていたとしても、再申請時に使用許可が保証されるものではありません。

(4)

以下のいずれかに該当する「英検」商標の使用については、原則として申請をいただいても許可することはできません(ただし、当協会が申請を不許可とする理由はこれに限られません。)。また、当協会が「英検」商標の使用を許可した場合であっても、以下のいずれかに該当する使用は原則として禁止されます。使用許可後に以下のいずれかに該当する使用が判明した場合には、使用期間中であっても、また、該当する商標使用にかかる使用許可以外のものも含め、当協会は直ちに使用許可を取り消すことができます。

(1)

当協会の実用英語技能検定ではない英語の検定や試験の名称として、または名称の一部としての「英検」の使用

(2)

会社名(商号)や事業者名などの組織(個人で運営するものの名称も含みます。)の名称として、または名称の一部としての「英検」の使用

(3)

ソーシャルメディアのアカウント名として、またはアカウント名の一部としての「英検」の使用

(4)

「英検」または「英検」を一部に含む商標の商標登録出願

(5)

当協会から許可を受けた「英検」商標の使用について、第三者に許可(再許可)すること

(6)

当協会が指定する態様以外の態様での「英検」商標の使用

(7)

「英検」商標を使用して、自社サービスのキャンペーン(受験料のキャッシュバックや自社サービスの割引を含む)を実施する行為

(8)

「英検」商標が表示されたのぼり旗、ビラ、その他の宣伝広告物の制作、販売

(9)

「英検」商標の価値を不当に利用する行為や希釈化させる、以下に掲げる行為

当協会が提供している商品やサービスであると誤解を与えるおそれのある行為

当協会が公認・推奨している商品やサービスであると誤解を与えるおそれのある行為

「英検」が一般名称であるかのように誤解を与えるおそれのある行為

上記①~③に準ずる行為として当協会が判断した行為

3. 当協会の許可を得て「英検」商標を使用する場合のルール

当協会の許可を得て「英検」商標を使用する場合、以下の項目を遵守してください。

(1)

「英検」が登録商標であることを示すために、使用する媒体を問わず、以下の例のようにアルファベットの"R"を○で囲った「®」を付記してください。

(2)

「英検」を表示した媒体には、下記の帰属文を、「英検」を表示した場所から離れすぎない位置に十分に見える大きさで表示してください。
英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

(3)

「英検」を表示した媒体には、商品やサービスなどの内容について当協会のサポートや承認を得ていないことを示すため、以下の文言を適当な大きさで表示してください。
このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。

(4)

「英検」を以下の態様では使用しないでください。

英検ロゴ(以下参照)やこれに類似するロゴを使用すること。

「英検」を表示する媒体の中で「英検」を最も目立たせて表示させること。「英検」は、商品やサービスなどの提供者名・ブランド名などの他の要素と同じ大きさかそれより小さく表示してください。

「英検」の文字をロゴ化・デザイン化して表示すること。

「英検」を赤の背景内に白字で表示すること。

その他、当協会が提供している、又は当協会から公認や推奨を受けていると誤解されるような態様で使用すること。

4. 当協会の許可が不要な「英検」商標の使用

「英検」商標を以下のいずれかの目的において使用する場合は、申請手続は必要ありません。ただし、 この場合であっても、法令並びに上記3.(1)、(2)及び(4)の規定は遵守してください。

(1)

インタビュー記事や体験談の中において「英検」商標を使用すること。ただし、商品・サービスやウェブサイト、アプリ、ソーシャルメディア、販促物において提供するコンテンツの内容の説明のために作成されたウェブサイト等に掲載するインタビュー記事や体験談は除きます。

(2)

大学入試等の入試傾向の説明の中において「英検」商標を使用すること。

(3)

学校や塾の募集要項や入学条件の中において「英検」商標を使用すること。

(4)

準会場であることを示すために「英検」商標を使用すること。ただし、そこで2.(1)の目的で「英検」を使用する場合は除きます。

第4 申請手続等

1. 申請書の提出

(1)

当協会コンテンツ、当協会ノウハウ、及び「英検」商標に共通して、その使用を希望する場合、以下のメールアドレス宛てにその旨を記載したメールをお送り下さい。当協会から申請書のフォーム等をお送りします。
当協会知的財産担当 e-mail: chitekizaisan@eiken.or.jp

(2)

申請に対しては、厳正な審査のもと、当協会の判断において、使用に条件を付し、又は使用をお断りする場合があります。また、使用を許諾する場合には、原則として当協会が定める使用料をお支払いいただきます(ただし、申請書に記載された事業目的、事業内容等を勘案し、高い公益性を有する態様での使用であると当協会が判断した場合には、無償での使用を許諾することもあります。)。上記の判断は当協会の完全な裁量に委ねられるものとします。

2. 申請に関する禁止事項

(1)

申請書に記載され、当協会が許可した目的以外の使用目的に変更する場合、又は、使用目的を追加する場合には、再申請を行うものとします。再申請をしないまま、当協会が許可した目的以外の目的で使用を継続することは禁止します。

(2)

申請にあたっては次に掲げる事項を遵守してください。

使用目的を偽るなど、申請書に虚偽の事実を記載しないこと。

当協会への申請後申請書に記載した事実に変更が生じた場合は、速やかに当協会に届け出ること。

その他申請書及び本ガイドラインに定める事項。

第5 本ガイドライン違反に対する措置

1.

本ガイドラインに違反した場合、又は、当協会が、当協会コンテンツ、当協会ノウハウ、「英検」商標の不適切な利用等と判断した場合は、使用等の停止の要請や使用等の態様の是正要請、使用料の支払を請求する場合があります。また、特に悪質な利用と判断した場合は、法的措置を含めた対応を検討いたします。

2.

申請者が本ガイドラインに定める事項に違反した場合、当協会は申請に対する許可を取り消し、所定の違約金を請求する場合があります。

3.

本ガイドラインに違反する第三者の行為を発見した場合は、当協会までお知らせいただきますようお願い申し上げます。

公益財団法人 日本英語検定協会